ミスタータンブリンマン(3)

最終話「ミスタータンブリンマン」

 

ホーホーホッホー!(キジバトの鳴き声)
ん...?
僕はいつの間にか机に伏せて寝てしまっていた。
なんだもう朝か...学校に行かないと。
学校に行く準備をしながら、僕はいつもとは違う胸騒ぎを覚えていた。
 
もうすぐ学校に着く頃だった。
遠くに見えてきた校門の奥から何やらざわざわと声が聞こえてきたかと思うと、学生たちが悲鳴をあげて校門の外に走り出してきた。
「キャーッ!!!!!」
すると学生たちの後ろから、なんと大魔王が現れたのだ!!

ヒャーッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!

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な、何なんだコイツは...!!
いきなり学校に現れて何しようとしてるんだ!
しかも第二話までの流れ的に、お前が出てくる訳がわからない!!!
 
とりあえず、みんなを守らねば。
知らないうちに、僕は一心に叫んでいた。
「みんな聞いてくれ!僕はタンバリンで奴と戦う。みんなは安全な場所に避難してくれ。いいか?!」
みんなはいきなり叫び出した僕を見てびっくりしながらも、助けてほしいというような目で必死に頷いていた。
 
タ「中村!」
中「はい!」
タ「お前はみんなを頼む!」
中「了解!」
タ「杉山!」
杉「ほいっ!」
タ「先生たちにこの事態を伝えてくれ!」 
杉「イェッサー!」
タ「西澤!」
西「おう!」
タ「100当番通報だ!」
西「何て説明すれば ...とりあえず、了解!」
 
僕は約4年ぶりに声を発した。だけどその声は、4年前までのそれよりも、勇気にみなぎっていた。
「僕は...ミスタータンブリンマンだ」
僕は、拳に全ての意識を集中させた。
 
ドゥーン!!!

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ドゥーン!!!
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ォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ
トァァアアアアアアアアアッッッーーー!!!!!
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ギャァァアアアアアアオオオオオオ!!!!!
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ドゥーーーーーン!!!

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なんだと、進化しやがった!!!
クソッ、舐めていた!このままでは本当にまずいぞ。
最終形態に入るしかないっ!必殺技だ!!
僕は両手に持っていたタンバリンを一つに合体させた。
 
ガシッ...ピカーーーン!!!!

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ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!f:id:yusunchoe:20200512220601j:image

シュパンッ!!!!!
 
ギャアアアアルルルルルァァァアアアアアーーーーー!!!!!!!!!
ボカーン!!!バタン!!ひゅ〜〜〜〜、ポンッ!
→(作者もよく分からないのでご想像にお任せします)
 

「終わっ......た。」
パチ
パチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ
僕が顔を上げると、そこには恍惚の眼差しで僕を見つめながら拍手をしているみんながいた。

「ミスタータンブリンマン、お前すごすぎるよ!」
「ミスタータンブリンマン見直したよ!!」
「かっこよすぎる!!!」
「すげーよ、ミスタータンブリンマン!!」
みんなが一気に僕の方に押し寄せてきた。
「...相手が、弱かっただけなんだ」
「ミスタータンブリンマン!タンバリンの魅力、教えてよっ!」
「えっ...?」
僕はまた泣いた。でもそれは昨日の涙とは全くの別物だった。


その日の朝礼で僕は表彰され、警察署に行って感謝状をもらった。僕は、また街中の人気者になった。
 
学校から帰ると、お母さんとお父さんが泣いていた。
父「お前、よくやったな!!」
母「ほんとにすごいよ!!これ...」
母が僕の前に何かを差し出した。それは、出来杉君だった。
「え...な...んで...??」
「お母さん、4年前にザルが壊れたからこれを代わりに使ったの。でもあなたがあまりにも落ち込んでいるのを見て、勝手に借りたって言い出せなくて、ずっと隠してたのよ。ほんとにごめんね、許して〜!!」
僕は自分の耳を疑った。母のその軽率な行動一つによって、僕は4年もの間声を失っていたのだ。自分の親とは信じ難かった。
でもそいつは間違いなく、僕の母だった。

「...いいよ」
「えっほんとに?!ありがとう!!!」
やれやれだ。

部屋に戻った僕は、出来杉君を叩いてみた。
 
パンッ!!!
 
4年前と同じ、どこまでも力強く、どこまでも美しく、どこまでも果てしない音が響いた。
 
パンパパパパンパパパ。
(もう離さないからね)
 
~完~

☆作者からの一口コメント
紆余曲折ありましたが、おかげさまで無事最後まで書き上げることができました。
最終話を書く過程で、自分の精神年齢の低さを思い知りました。
とっしぃさん、ご提案からアドバイスまで本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m