湘南ツアー

2ヶ月ぶりの関東だった。

ツアー初日は、Yokohama mint hallという素敵なライブハウスで福原希己江さんと島崎智子さんの前座をした。

二人ともたくさんの人の心を奪って巻き込んでいくやり手のSSWで、且つ個人的にどちらも大好きなので緊張と喜びでギンギンだった。

島崎さんのライブにはこそこそお邪魔したりYouTubeを鬼リピしたりしてたので、どんな歌を歌うのか一応はわかったつもりでいるんだけど、毎回裏切られるのが面白い。同じ歌でもその日の状態で声色とか速度が変化するし、そもそも曲数が途轍もなく多かったりするからライブアーティストとして最強だと思う。

歌の素晴らしさもさることながら、MC上手すぎる。こんな大阪人がいるから、「大阪出身なんだったら、何か面白いこと言って」とかいう地獄のようなフリが生まれてしまうのだろう。あれマジで辞めてほしい。

福原さんは、めちゃくちゃ深夜食堂だった。と言ったら失礼なんだけど、鈴木常吉さんの『思ひで』というOSTも歌ってたし、ご飯の歌多めだったし、実際に深夜食堂ファンからしたらたまらないライブだった。

福原さんは歌うために生まれてきたんじゃないかと思うくらいやばい歌声の持ち主で、私としては正直参考にならない。それくらい浮世離れしている。一方でMCでは人間味が溢れ出ていて、そのギャップが魅力的だった。

楽屋トークが面白かった。

福原さんが怪談が大好きらしく、私も時々youtubeで見ます〜っていう話をしてたら、島崎さんが「は?君たち、なんで?!なんで?!」って(笑)

島崎さんに、詩の着眼点だけじゃなくメロディがいい、と褒めてもらえたのはかなり自信になった。

 

二日目、待良さんとキラキラみさこさん。

待良さんはクソ真面目の権化のような人だった。曲が良いし、歌もギターもべらぼうに上手いし、MCは面白いし、完璧に完璧を掛けたような感じで。どうやったらそこまで抜かりなくできるの?!と思って聞いていた。私にはとても真似できない所業。

終演後の話で、待良さんは来年40歳になるらしく「『四十にして惑わず』と言いますが、本当にそうなっていけるものなのでしょうか」って年配のお客さんに聞いてて、お客さんが「いや、50過ぎたけど惑いまくりよ!」とか言ってて笑った。

私がMCで待良さんの『愛よりお金』という歌を持ち出して「愛でもお金でもなく…」という話をしたときに、待良さんは心の中で(…健康?)と思ったらしい。何だそれは、と思ったが、歳を取ると私もそういう考えになっていくのだろうか。

チューニングのこととか技術的なことも色々教えてもらってすごい勉強になったのだけど、そもそもチューニング狂ってること自体に気付けない自分はミュージシャンとして失格なのだろうか、とか考えてしまって変なゾーンに入りそうになったからちょこちょこ思考停止しながら聞いてた。

キラキラみさこさん、相変わらず天才だった。父も配信見てたらしく、LINEで「みさこさんかっこよすぎ!」とメッセージが送られてきて、いや私の感想じゃないんかーいと思った。

ちなみに母は、『のらりくらり』という私的には感動要素ゼロの歌で、涙したらしい。何で?!(笑)もしかして、「貸した金が帰ってこない」の部分だろうか。そこはちゃんとフィクションなので、安心してほしいのだが。

最後みさこさんと一緒にニジューの話でキャッキャして楽しかった。

 

三日目、かずまさんとヤンフレンジーさん。

どっちもギタリスト兼SSWなので技術的な部分が並外れているんだけど、どちらも同じくらい人格者で魅力のある人だった。

かずまさんはいろんな有名アーティストの伴奏をしたりしててすごい人なのだが、めちゃくちゃ優しかった。会った瞬間からすごい気さくに話しかけてくれて、お陰さまで緊張が解けて楽しく歌えた。ゆとり世代の歌がツボだった。

ヤンフレンジーさんは、私が直接あったことのある女性のギター弾き語りストの中でダントツにギター伴奏が上手く、単純にかっこよすぎて興奮した。

最初に歌っていた『いまさらな懺悔』という歌で、

https://youtu.be/O5lerQDEqt8

「いまさらな懺悔〜〜〜カッ!」っていうのがあって「カッ!」のところがかっこよすぎてめちゃくちゃ真似したくなった。

最初に予定していたセッション曲が減らされたことにより、第二弾が決定した。その時まで、あともう少しくらい上手くなっていたいな。そして褒められたいな。

 

最後に、私の総括。

緊張して演奏が硬くなってしまったり、弦が切れたり、伴奏を間違えてしまったり少なからずハプニングはあったものの、ライブ全体の完成度としては悪くなかったんじゃないかなと思う。

私を初めて見る人は、まだ技術が足りないなとか、緊張してるなとか思うかもしれないけど、私の中では着実に積み重ねてきたものがあると感じた。

2019年9月に下北沢CCOというハコで初めて本間さんとお会いして、イベントに呼んでもらえるようになった。

一時期はしんどくなって一度ライブ休みますなんて宣言してみたり(今考えたら別にそんなことしなくてもマイペースにやれば良かったんだろうけど、あいみょんじゃあるまいし)、本間さんから借りてた高価なギターが重荷になって返してみたり、今もそうだけど技術的な部分で葛藤があったりして、でも全ては今ここにいる自分が自分であるために必要なものだったんだろうと思う。

チューニングが狂ってることが耳で聞いてわからないくらいに、また、日本一周します!とか言って十分の一も進まずに沖縄に住民票移そうとしているくらいに、きっとまだまだ中途半端な自分なんだろうけど、あるいはこれからもずっとそうだったとしても、全部ひっくるめて楽しんだらいいんじゃないか?と、最近は思うようになってきた。

それは努力しないとか、今の場所に留まる、という意味ではなく、社会的に成功するかどうかの前に、自分の指標で楽しいと思える場所に全力で向かっていけるかどうかであって、その技術をもっともっと習得していきたい。