かめ吉

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こんにちは!私は、ゆすんの家にいる亀です。
名前は、「かめ吉」と申します。
ゆすんの母に名付けられました。

 

ゆすんの部屋は私のいるベランダに隣接しており、いつも気まぐれで私の水槽に餌を入れてきます。
私は、ゆすんの母が餌を少ししかくださらなくてめっちゃ腹減ってるよ〜っていうときと、丁度いい分量をくださってとりあえず今は満足っす!っていうときがあるので、ゆすんが餌をくれても場合によっては爆食いしたり、目も向けなかったりします。

 

ゆすんは、私が爆食いしたら満足そうに笑みをこぼしながら私を眺めています。
僕は正直、それがうっとしいです。ええからはよ自分の部屋戻れや、って思います。
でも逆に私が食べずにいると、ゆすんは「はよ食べろや」と言ってきます。そのときは、私は意地でも食べません。

 

私は10年ほど前にゆすんの弟に夜店で釣られてこの家に来ました。最初は10cmくらいだったので玄関の水槽に入れられていましたが、今はその3倍の大きさにまで成長したのでベランダに引っ越しました。
それはさておき、つまり私はゆすんが東京に行く4年ほど前からこの家にいたのです。しかし、私とゆすんとの関係はそんなに長くありません。なぜなら東京に行く前のゆすんは、私の存在をガン無視していたからです。
にもかかわらず、最近大阪に帰ってきたゆすんは、たかが私のベランダの隣の部屋で寝ることになったぐらいで、「私たち、昔からずっとマブダチだよね?」みたいなノリで話しかけてきます。
「よっ、かめ吉!元気してる?」
「かめ吉さ〜、ずっと一人で水槽の中おるけど寂しくないん?」
「てかかめ吉ってさ、将来のビジョンとかあるん?」
当然私は無視しますが、実は甲羅の下で中指を立てています。

 

ちなみに私にとってのマブダチは、10年間ずっと私の世話をしてくれているゆすんの母のみです。私を夜店で釣ってきたゆすんの弟は、ゆすんよりもっと気まぐれ野郎なのではっきり言って嫌いです。ゆすんが週一で餌をくれるとすると、弟は半年に一回のペースで来ます。半年に一回ならもういっそ来るなよ、と思います。
でも、これよりもっとひどい人たちがいます。それはゆすんの父と妹です。彼らとは、もはや他人です。
つい最近、5年ぶりくらいに妹が私を覗きに来たのですが、5年ぶりの一言目が「でかっ!!」でした。先ほども述べた、私の驚異の成長を見届けられなかったからです。

 

一度ゆすんの父がゆすんの母に「あの亀、もう川に返したら?」と言うと、ゆすんの母か「誰が10年も育てたと思ってるん?!」と大激怒したことがありました。
私は最近ゆすんからその話を聞き、ゆすんの母の私に対する無償の愛に嗚咽しました。
と同時に、父に対する憎悪もまた渦巻くのでありました。それは自分を捨てようとしたという個人的な怒りではなく、一般的にペットショップで販売されている亀などは外来種の場合が多くあるため、 川や池などへ放すと生態系を乱すこととなり、元い住んでいた生き物が生きてゆけなくなるおそれがあるのです。それは我々の本能であり自ら制御できないため、人間が責任を持って我々が死ぬまで育てなければならないのです。
重苦しい話をしてすみません。ただ、あまりにも我々の凶暴さを軽く見ている連中が多いもので、一石投じさせていただきました。

 

私の唯一のマブダチであるゆすんの母ですが、一度だけ許せなかったことがあります。
ある日私が日向ぼっこをしていると、ゆすんの母が爆笑して写真を撮ってきたのです。
それがこの写真です。


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どうでしょう。これが日向ぼっこ以外のどんな行為に見て取れましょう?
しかしゆすんの母はこの写真を家族のLINEグループに送り、こんなメッセージを送っていたのです。


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普段腹が立ってもせいぜい甲羅の中で中指を立てるくらいの私も、さすがにこのときは頭に血が上り、「Fuck!!!」と叫びながら衣装ケースに何度も体当りしました。せめてこの手に拳があればと、何度願ったことでしょう。
フライデーにスキャンダルをでっち上げられる芸能人の気持ちがやっとわかりました。
何度も念を押しますが、私はただ日向ぼっこをしていただけなのです。何も思い高ぶったようなことをしたつもりはありません。
しかしそれ以来、私は天気がいい日でもわざわざ日陰の方に行くようになりました。日向ぼっこができないのは残念ですが、もうあんな屈辱は願い下げです。

 

最後に、最近ゆすんが私につけたあだなを紹介します。「かめ次郎」です。
「かめ吉」が本名で、「かめ次郎」があだならしいです。命名された本人から言わせてもらいますが、どっちでもいいです。

 

私の長いひとり語りを聞いていただきありがとうございました。
では、世知辛いご時世ですが皆様くれぐれもご自愛ください。